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株主優待をタダ取り? クロス取引(つなぎ売り)のしくみ

更新: 2026年9月1日 ・ 読了目安 7分

株価が下がる心配を小さくしながら株主優待を受け取る方法として「クロス取引(つなぎ売り)」が知られています。「タダ取り」と呼ばれることがありますが、実際には手数料などの費用がかかり、条件によっては損をすることもあります。この記事では、しくみと費用、うまくいかない場合を順番に説明します。

どういうしくみ?

同じ銘柄を「現物で買う」と「信用取引で売る」の両方を同時に持つ方法です。株価が下がれば現物で損が出ますが、売っている側では同じだけ得が出ます。上がればその逆になります。両方を持つことで、株価が動いても損益が打ち消し合う状態にしたうえで、現物を持っていることで株主優待の権利だけを受け取る、という考え方です。

証券会社では「つなぎ売り」と呼ばれることが多く、優待を目的に使う場合は「優待クロス」とも呼ばれます。

いつまでに買えばいい?

優待や配当を受け取る権利は、会社が決めた権利確定日に株主名簿へ載っているかで決まります。株を買っても、その代金と株の受け渡し(受渡)が終わるまでには時間がかかります。

日本の株式の受渡は約定日の2営業日後です。そのため、権利を受け取れる最後の売買日(権利付最終日)は権利確定日の2営業日前になります。その翌営業日からは「権利落ち」として売買され、買っても権利は受け取れません。

ポイント: 権利確定日が9月30日(すべて営業日の場合)なら、権利付最終日は9月28日、権利落ち日は9月29日です。休日が挟まると日付がずれるので、銘柄ごとに確認してください。

手順は4つ

信用取引の口座を用意するクロス取引には信用取引の口座が必要です。多くの場合、逆日歩(後述)が発生しない「一般信用売り」を使います。
権利付最終日までに、現物買いと信用売りを同じ株数だけ用意する権利付最終日の取引終了時点で、両方を持っている必要があります。
権利落ち日以降に「現渡し」で決済する現渡しとは、売っている分に対して手元の現物を渡して決済する方法です。売買で決済しないため、株価の変動を受けずに両方を解消できます。
後日、優待が届く優待の発送時期は会社ごとに異なります。

かかるお金

「タダ取り」と言われますが、少なくとも次の費用がかかります。

売買手数料現物買いと信用売りの両方にかかります(無料の会社・コースもあります)
貸株料株を借りて売るための費用。会社と区分(無期限・短期など)で大きく異なります
配当落調整金配当がある銘柄では、現物で受け取るのは税引後(約8割)、信用売り側で支払うのは配当の全額。その差額(配当の約2割)が持ち出しになります

費用は会社によって違うため、申し込む前に各社のページで確認してください。とくに配当のある銘柄では、優待は受け取れたのに現金は減ることがあります。

いくらかかる?(かんたんな試算)

費用の大きさをつかむために、仮の数字で計算してみます。実際の金額は銘柄と証券会社によって変わりますので、考え方の目安として見てください。

仮の前提

株価 2,000円の銘柄を 100株(20万円)/権利付最終日に現物買いと一般信用売りを用意し、権利落ち日に現渡し(3日間)/貸株料は年1.1%と仮定/売買手数料が無料のコースを利用/配当は1株20円(100株で2,000円)と仮定

貸株料20万円 × 1.1% × 3日 ÷ 365日約 18円
配当落調整金の差額受け取るのは税引後の約8割、支払うのは全額。その差の約2割約 400円
合計(この前提での費用)約 420円

優待の価値がこの費用を下回れば、その差は損になります。

配当のない銘柄なら、この例の費用は貸株料の約18円だけです。配当のある銘柄では、費用の大部分を配当落調整金の差額が占めます。

返済期限が短い区分(短期など)は貸株料の年率が数倍になることがあり、その分だけ費用も増えます。

「制度信用」で売った場合は、これに逆日歩が加わります。金額は事前にわからず、上限もありません。

うまくいかないことがある

クロス取引は「必ず得をする方法」ではありません。よくあるつまずきを挙げます。

売る枠がなくなる(在庫切れ)一般信用売りに使える株数には限りがあります。優待で人気の銘柄は、権利付最終日を待たずに枠が埋まることがあります。
逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生する「制度信用」で売った場合、株が不足すると逆日歩という費用がかかります。金額は入札で決まるため事前にわかりません。高額になることもあります。一般信用売りでは発生しません。
現渡しを忘れる・期限が来る決済を忘れると、値動きの影響をそのまま受けます。一般信用売りには返済期限があり、期限は会社ごとに違います(無期限・最長10年・原則3年・14日程度など)。
そもそも優待をもらえない銘柄がある「1年以上継続して保有していること」など継続保有が条件の銘柄では、権利日だけ持つクロス取引では条件を満たせないことがあります。優待の条件は会社ごとに違うので、開示された内容を必ず確認してください。
ポイント: 優待の内容や条件は「株主優待制度の新設・変更・廃止」として開示されます。開示ウォッチのフィードで「優待」と検索すると、こうした開示を探せます。

一般信用売りができる証券会社の例

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無期限の枠がある
SBI証券一般信用売りに無期限と短期(15営業日)がある在庫はログイン後に確認公式サイト
松井証券短期信用は売建専用。無期限の一般信用も選べる取扱銘柄を口座なしで確認できる公式サイト
返済期限に上限がある
三菱UFJ eスマート証券一般信用(長期)の返済期日は最長10年対象銘柄を口座なしで確認できる公式サイト
SMBC日興証券一般信用売建の返済期限は原則3年(無期限・短期の区分は分かれていない)在庫はログイン後に確認公式サイト

開示ウォッチは、リンク経由での口座開設で紹介料を受け取ることがあります。

各社の制度は公式サイトの記載にもとづきます(2026年9月1日確認)。制度・手数料・貸株料は変更されることがあります。

当ページは特定の銘柄への投資や、特定の取引手法を推奨するものではありません。クロス取引は費用が発生し、条件によっては損失が生じることがあります。

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